お口からはじめる感染症対策~②ウイルスはどのようにして体内に入り込む?~

こんにちは。
笠井歯科医院です。

先日の【歯周病とウイルス感染の関連】の投稿はいかがでしたか?
ウイルス感染の怖さについて新たな発見もあったと思います。

今日はウイルスについてより深く理解できるようにもう少し詳しく説明していきたいと思います。

今日のお話は、【ウイルスはどのように体内に入り込むのか?】についてです。

前回の投稿でも触れましたが、コロナウイルスはインフルエンザと同じエンベロープ(皮膜)を持つ
ウイルス族なので、感染の仕組みは共通していると考えられます。

ですから、コロナウイルスから身を守るためにもっとも参考になるのは、
インフルエンザの予防法です。
そこで、インフルエンザの感染の仕組みを参考にしながら、ウイルスがどんなふうに
私たちの体内に入り込むのか、そこを参考に探っていきましょう。

ウイルスはみな、生きた細胞に入り込まないと生きられず、細胞の中でしか仲間を増やせない
パラサイトです。
狙いをつけたノドの粘膜細胞のレセプター(細胞の膜にある受容体/入口)に吸着すると、
自分を包む膜と細胞の膜を一体化させてスルリと内部に侵入し、自分の遺伝子を包む殻をサッと脱ぎ捨てて、細胞のなかにその遺伝子を放り込みます。そして乗っ取った細胞のタンパク質やエネルギーを使って
自分の遺伝子を増殖させていくのです!

とはいえ、粘膜細胞はそうやすやすと乗っ取られるわけではありません。
通常ノドなどの粘膜の細胞は、豊富な粘液でおおわれ隠れています。
この粘液が邪魔をするのでウイルスが細胞のレセプターに吸着しようとしてもなかなか吸着できないのです。

ただ、しかし!!

この粘液による防御作用が弱くなってしまう場合があります。
そこにかかわっているのが、思わぬ伏兵、

“歯周病菌”  なのです!

お口にプラークがたっぷりあり、歯周病菌が跋扈していると、歯周病菌の出す毒素が粘液の層を溶かして
壊してしまいます。すると、ウイルスの標的である粘膜細胞のレセプターが丸見えになり、
吸着が容易になってしますのです。

つまり、歯周病菌は、ウイルスが素早く体内へ侵入できるように手引をしてしまうのです(>_<)

そして、じつはこれだけではありません!
歯周病菌の出す毒素は、ウイルスのもつ「細胞の入口を開ける鍵」をパワーアップさせてしまうことも
分かっています。

こうした歯周病菌の凶悪さは、インフルエンザの研究によって暴かれたものです。
コロナウイルスも、細胞のレセプターに吸着し侵入する点で共通することから、同様に
“歯周病菌の手引を受けている”とみてよいでしょう。

お口の中で歯周病菌が増える原因はお手入れ不足です。
歯磨きを怠ってプラークがたまったり、歯周病菌の巣になった歯石を放置していると、歯周病が
起きてしまいます。

自分の身を守るには、マスクに手洗い、うがい、体調管理と3密を避けること。これに加えて、

“普段からお口の中を清潔にして歯周病を予防すること”

と覚えてくださいね(^^)/

次回は、そんな歯周病を減らす対策【歯周病菌を追い出そう】についてお話ししていきます!